誰しも認知症と診断されたら、不安でいっぱいになったり、動揺したり絶望したりするものです。そのように感じることはいたって普通です。認知症と診断されたからといって、過度に不安になったりする必要はありません。認知症と上手に付き合いながら幸せに暮らすことができます。大切なことは、慌てず焦らず、今後の生活のために介護に詳しい専門家を踏まえて、対策を考えることが大切です。
まずは慌てない。専門家に相談しましょう。

まずはかかりつけ医や地域包括支援センターの専門家に相談してみましょう。
地域包括支援センターとは、高齢者の健康面や生活全般に関する相談を受け付けている、地域に密着した総合相談窓口です。
各市区町村に設置されており、高齢者および高齢者を支える人たちが利用できます。
相談できる内容は、日常生活での小さな心配事から、病気、介護、金銭的な問題、虐待など多岐にわたります。
認知症の初期症状とは?早期発見のためにできることを解説
認知症の症状は人それぞれです。主な認知症の初期症状は以下の通りです。
- もの忘れが増える。終わったばかりの電話の相手の名前を忘れる。
- 同じことを何度も言う・問う・する。
- 財布・通帳・衣類などを盗まれたと人を疑う。
- 料理・片付け・計算・運転などのミスが多くなった。
- 時間・場所がわからない約束の日時や場所を間違えるようになった。
- 「このごろ様子がおかしい」と周囲から言われた。
- 意欲がなくなる下着を替えず、身だしなみを構わなくなった。
- 食事を食べたこと自体を忘れる。
思い当たる言動が複数ある場合や、以前と比べて性格や嗜好が変わったなどあれば、認知症の初期症状かもしれません。
同居していない場合は、周囲の人、近所の人の意見を聞くことも大切になります。
小さな変化は家族が一番気づきやすいものです。
何かおかしいなと感じたら、遠慮なく専門医や専門家にご相談ください。
家族が認知症になったらどうやって関わればいいの?
大切なことは、普段通り接するということです。認知症になったからといって、特別な関わりをする必要はありません。家族が普段通りすごしてくれることが、認知症の方の安心できる環境になるのです。しかしながら認知症の症状に家族がストレスやイライラを募らせてしまうこともあります。その場合は以下のことを心がけてみましょう。
否定しない
記憶の間違いや現実とのズレがあっても、「違うよ」と正そうとすると混乱や不安を強めます
。そのため、気持ちを受け止めて、「そうなんだね」「心配だね」と共感することが大切です。
ゆっくり・はっきり話す
早口や複雑な説明は理解しにくいです。短く、分かりやすい言葉で伝えてみましょう。
安心できる環境を整える
同じ場所に同じものを置く、カレンダーや時計を見やすくする、部屋を明るく保つなどの環境を整えることで不安を減らすことができます。
できることを尊重する
本人ができる家事や日常動作は、なるべく続けてもらうことが自尊心を守り、進行を遅らせる効果が期待できます。
認知症はどう進行していく?知っておきたい3つのこと
認知症は、認知症の種類や生活環境などの影響を大きく受け、進行の程度は人それぞれです。
- 認知症の根本的な治療法や確実な予防法は、いまだ確立されていません。
ただ、発症リスクの低減や進行を抑えるのは不可能ではないとされます。 - また、軽度のうちに発見し治療を始めることで、進行を抑えるだけでなく、認知機能を一時的に正常な状態まで回復できる可能性もあるのです。
- 初期では、昔のことはよく覚えていますが、最近のことは忘れてしまいやすくなります。
そのため、昔の思い出話などは脳の活性化、自尊心が高まることにも有効とされています。
認知症にはどんな種類があるの?
認知症には大きく分けて以下の種類に分類することができます。
血管性認知症
脳梗塞や脳出血によって一部の神経細胞に十分な栄養や酸素がいき渡らなくなる脳血管障害が原因となり発症する認知症です。高血圧や糖尿病などの生活習慣病が主な危険因子です。脳血管障害が起こるたびに段階的に進行します。また、障害を受けた部位によって症状が異なります。
レビー小体型認知症
「レビー小体」と呼ばれる異常なタンパク質が脳内を中心に蓄積しながら、神経細胞が破壊されるレビー小体病が原因となり発症する認知症です。現実には見えないものが見える幻視や、手足が震えたり筋肉が固くなったりといった症状が現れます。歩幅が小刻みになり、転びやすくなります。
前頭側頭型認知症
脳の前頭葉や側頭葉で、神経細胞が減少して脳が萎縮する前頭側頭葉変性症が原因となって発症する認知症です。感情の抑制が効かなくなったり、社会のルールを守れなくなったりといったことが起こります。
認知症の介護は大変?介護の負担を軽減するには?
一人で抱え込むと、心身ともに負担が大きくなります。しかし、介護サービスを上手に活用し、専門家と協力してサポート体制を整えれば、その負担は大きく軽減できます。
65歳以上の方は、要支援・要介護に認定されれば介護保険を利用することができます。
また、40歳~64歳で特定疾病(加齢に伴って生ずる心身の変化に起因し要介護状態の原因である心身の障害を生じさせると認められる疾病である場合)は介護保険を利用することができます。
家族が高齢ではないから介護保険を受けられないのではないか、家族の介護のために仕事を辞め必要があるのか、収入が不安定になるかと不安になるなど、多岐にわたる悩みが出てくると思います。
そんな時こそ、かかりつけ医、地域包括支援センターへご相談ください。
厚生労働省 介護保険制度の概要
どんな介護サービスが受けられるの?

介護度に応じて、限度金額が決められており、ケアマネジャーと相談しながら、介護サービスを調整します。
- 訪問介護(家事、炊事を含むホームヘルプサービス)
- 訪問看護
- 訪問リハビリ
- デイサービス
- 歩行器や電動式介護用ベットなどの福祉用具のレンタル
- グループホ―ム
- 特別養護老人ホーム
上記以外にも多岐にわたる介護サービスがあります。
高齢の方で「自分ではなんとかできるけど、足や腰が弱ってきて家の家事や買い物に行くのが大変に感じる。」
「筋力が弱って転びそう。家は古いので手すりや掴まるところがなくて困っている。」
そんな方は地域包括支援センターにぜひご相談ください。
きっとあなたが地域で安心して生活できる方法が見つかるはずです。
まとめ
認知症の介護は一人で抱えると、介護者はもちろん、介護される方にも精神的なストレスがかかります。認知症の介護で最も大切なことは、一人で頑張ろうとしないことです。
介護する人に余裕がないと、認知症の人も安心した生活が送れません。
専門家に相談しながら、介護サービスを使う、また、職場と相談し介護休業制度を利用するなど、介護する人も心身ともに無理をしない生活スタイルを送りましょう。

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