皆さん、「葉酸」とは言葉を耳にしたことはありますか。妊娠が分かったときに医師から説明を受けたり、妊活中に初めて知ったという方も多いでしょう。
妊娠前、妊娠初期に葉酸を摂ることは非常に重要と言われています。では、なぜ「葉酸」を摂取することが大切なのでしょうか。ここでは葉酸の働きや必要性について解説していきます。
葉酸とは何か?その働きと効果とは!

葉酸はビタミンB群の一種です。ビタミンM、ビタミンB9、プテロイルグルタミン酸とも呼ばれます。葉酸は神経細胞増殖に必要なDNA合成に関与しています。また、アミノ酸の一種がたんぱく質の合成に必要なメチオニンという必須アミノ酸に変換される過程に必要とされます。つまり、細胞分裂や発達に欠かせない役割を果たしています。
なぜ妊娠初期に葉酸が必要なの?
妊娠初期は胎児の細胞が急速に増殖し、神経系の形成が始まる大切な時期です。妊娠7~8週目頃には神経系も発達しはじめ、胎児の脳や脊髄が形成されます。
この時期に葉酸が不足すると二分脊椎や無脳症など、胎児の神経管閉鎖障害の発生リスクが高まることが分かっています。
妊娠前から葉酸を摂取が勧められる理由と摂取のタイミング
神経管の閉鎖は妊娠6週末までに閉鎖するといわれており、妊娠が発覚してからでは摂取が遅れる可能性があります。そのため、妊娠が成立する1か月前から、妊娠12週目まで摂取が推奨されています。もちろん妊娠中期以降に摂取しても問題ないです。
葉酸の推奨摂取量と不足の現状
では一体どのくらいの葉酸を摂取すればよいのでしょうか。
妊娠の可能性がある女性は、1日あたり400μgの葉酸の摂取が望まれます。
しかしながら、20歳~39歳の平均葉酸摂取率は220ug(マイクログラム)と言われており、必要摂取量に届いていない現状があります。
そのため、食事だけでなくサプリメントにより葉酸を補うことが大切になります。
食事から摂る葉酸とサプリメントの違いは?
- 食事性葉酸(テトラヒドロ葉酸)
ブロッコリー、ほうれん草、鶏レバー、焼きのり、いちご、納豆、枝豆などに含まれます。
ただし消化・吸収の過程で影響を受けやすく、生体利用率は約50%と報告されています。 - サプリメントの葉酸(モノグルタミン酸型)
安定性が高く、体内での利用効率も良いため、効率的に必要量を摂取できます。
そのため、食事+サプリメントの併用が推奨されます。
おすすめの葉酸サプリメント選び方と選び方のポイント

400μgの葉酸をサプリメントを選びましょう。
また、妊娠中に不足しやすい鉄やビタミン類が含まれたマルチビタミンタイプも有用です。栄養バランスのとれた食事と併用することで、より安心です。
妊娠がわかるまで葉酸は飲んでいなかった。赤ちゃんに影響は?
「妊娠が分かるまで葉酸を飲んでいなかったけれど大丈夫?」と不安に思う方も少なくありません。
しかし、妊娠が分かったその時から摂取を始めても遅くはありません。胎児は妊娠期間を通して成長し続けるため、葉酸は引き続き役立ちます。
大切なのは「摂取していなかったことを悔やむ」よりも、「今からできることに目を向ける」こと。過度なストレスはかえって赤ちゃんに悪影響を及ぼすため、前向きに取り組みましょう。
まとめ:妊娠前から始める葉酸習慣

葉酸は胎児の健やかな発達に欠かせないビタミンです。
普段から健康的な栄養バランスの取れた食事をとることを心がけ、必要に応じてサプリメントを取り入れることで、母子ともに安心できる妊娠生活をサポートできます。
引用:厚生労働省|葉酸とサプリメントー神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果
引用:日本助産学会誌 エビデンスに基づく助産ガイドライン
ー妊娠期・分娩期・産褥期 2024 P146
引用:令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要
日本人の食事摂取基準(2020年版)
